第1章 始まりの春
凛には親友がいた、名前は思い出したくもないし、覚えていないけれど。
その親友が好きだった男が凛の事を好きになったらしい。凛はもちろん気づいていないし、知るはずもない
その親友が凛を嫌いになるまで時間はかからなかった。表面上では仲良くし、裏ではかなりの悪口を言っていたそうだ。それだけならまだ良かった
事が起きたのはあの春の日、俺にとっての忘れられない一日
凛を遊びに誘ったその親友は妬みからか、河川敷にいた凛を川に突き落としたのだ。
浅い川だし、すぐ上がってくるはずだと思ったらしい。
でも、最悪な事にここは宮城で、春といっても川は冷たい。急な体温の変化に驚いた凛の心臓は止まってしまった。
川の流れに沿って抵抗もなく流れていく凛をパニックになって見つめている凛の親友
兄の勘というものだろうか、凛を追いかけてきた優衣が川に飛び込み助けようとした
その日、俺は遊ぶ約束をしていた優衣が約束の場所に来ない事を珍しいなと思いながら、優衣の家に向かっていた。