第7章 相談
それから10分くらいたった頃。
凛が寝ながら涙を流していたのだ。
思い出される記憶。まだ入学したてだった頃、1度だけ同じ光景を見た。確か誰かの名前を呼んでたような気がする。さすがに半年も前のことだし、名前までは覚えていないけど。
夢で辛い思いをするくらいならと今度こそ凛を起こした。
声をかけても中々起きない彼女に少し心配しながらも、声をかけ続ける。
「お、、、て。凛、、。、きて!凛起きて!」
やっと目を開けた彼女に安心し、聞いてみる。
「やっと起きた。なんか、悪い夢でも見た?」
凛「え?なんで、?」
「泣いてたから。」
凛「うそ、なんでだろ。夢見た記憶ないのに。」
夢を思い出せない彼女が小首を傾げてみせる。
「前も1回だけ、入学したての頃凛が寝ながら泣いてるの見た事ある。」
凛「おばけでも出てきてたのかも。」
「お化け苦手なの?」
凛「全然!笑 何となく言ってみただけだよ。」
さっき泣いてた人とは別人のような彼女がおどけて言った。
「そっか。」
凛「起こしてくれてありがとう。今何時、?」
「一限目が始まったくらいかな。凛中々起きないからこんな時間になってた。」
(本当は俺も寝てたなんて死んでも言わない。)
凛 「うそ!?ごめんね、一緒にサボらせちゃって。今からでも戻る、?」
「いや、面倒臭いし、いいかな。ていうか、凛が眠れない程の何かがあったんでしょ。俺で良ければ、相談乗るけど。」
(本当は俺が気になるだけだけど。それに元気が無いのは凛らしくない。)
凛「私そんなに寝るイメージなの?笑 でも、ありがとう。
国見くんって優しいよね。実は最近、自分が知らなかった感情を思い知らされる毎日で、心が追いつかないんだ。それで、キャパオーバーになっちゃって逃げてきた。」
具体的では無いその相談に何とか答えようとした。
「いまいち話が見えてこないけど、その感情を知らないままの方が良かったの、?」
「え、、、?」
彼女の驚く顔を見て、してはいけない質問だったのかと心配になった。