第6章 春高予選
二口さんが私のハグに答えるように力強く私を抱きしめ返す。しばらくし、抱きしめた腕を離すと二口さんのお腹辺りに埋めた私の顔を両手で包み込み、少し強引に上を向かせると、顔を近づけキスをした。
離れようにも顔を抑えられていて、ビクともしない。収まったはずの涙がじわりと目に溜まってくる。苦しいのに離して貰えない。
息の限界を迎えた私は、二口さんの胸を数回叩いた。そしてやっと息苦しさから解放される。
「っ、、、。、ん、、はぁ、、、はぁ。」
私は肩で息をする。
二「俺の解釈これで合ってる?
同じ気持ちだって事でいいんだよな、、?」
「知らないですよっ!先輩の意地悪っ!!!」
初めてのキスと抱きしめ返してくれた嬉しさ。気づいてしまった自分のこの気持ちの名前。色んな感情で本日二度目のパニックを起こした私は、荷物を抱え、走って家へと帰った。
二「あっぶね。あのまま溶けたみてーな顔間近で見てたら間違いなく止まんなかった。いや、いっそ舌まで入れて、もっとグズグズな顔にさせるのもアリだったか。」
体育館の戸締りをしながら1人ブツブツと呟いていた。
(やっと、かよ。やっと意識しだしたんかよ。ご丁寧に顔に好きですって書いてあったし笑
走って出ていくところも可愛いなんて、どーかしてるわ)
走って抱きつきに来た姿を思い返しては、ニヤけが止まらない。
確信した凛の思いと春高予選の悔しさを背に、長い長い1日が終わる。