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ツンデレな彼を落としたい

第6章 春高予選


皆も3年生も練習を終え、帰っていく。
体育館に残り1人、練習を続ける二口さんを除いて。
それを見ていたのは私を含め3人。青根さんと舞さんである。
青根さんのジェスチャー曰く、試合後のオーバーワークは身体に悪く、怪我をしかねないからもう辞めろと言ったが、二口さんは聞かないとの事。

舞「ねえ、凛ちゃん。多分青根と同じく私が言っても駄目だから、二口は凛ちゃんがどーにかしてやって。任せたよ。」

「私に務まりますかね、?結構責任重大じゃないですか!」

舞「大丈夫だよ。凛ちゃんは自慢のマネだから。」

私は青根さんと舞さんの思いを受けとり、二口さんに向かっていく。

「あの、二口さん!!練習やめてください。皆心配してます。」

私の声も二口さんには届かない。話しかけた時に見えた二口さんの横顔に釘付けになり自然と涙が溢れる。

(なんて律儀な人なんだろう。先輩達の無念を晴らす約束を抱え、今日も明日からもキャプテンとしてのプレッシャーに耐えながら、歩いていくんだろう。彼よりも先輩思いな後輩がいるんだろうか。)

二口さんの顔は自分を責めるような、迷子の子供のような苦しく悲しそうな顔だった。
今この人を置いては帰れない。考えても分からない私は素直に、自分の気持ちに従った。

私は練習を続ける二口さんを後ろから抱きしめた。

さすがに二口さんの動きが止まった。いや、物理的に私が止めたって言う方が正しいのかな。表情は見えないけど、低い声の彼が言う。

二「なぁ凛ちゃん。離してくんない?」

「絶対嫌です。離したらまた練習始めるでしょう、?舞さんも青根さんも心配してます。もちろん私もです!先輩はこれからも負ける度に自分を責めて痛めつけるんですか?試合でのプレーが良かったとしても。そんなに結果が大事ですか、得たものは何もないって思ってるんですか。先輩が今しているのは、疲れてボロボロの体に鞭を打って、万全の状態じゃない身体でのただの自己満練習です。そーじゃない、今するべきなのは帰って、ちゃんとしたご飯を食べて、寝て、壊れた筋繊維を回復させる事です。違いますか?」

手に持っていたボールを離した二口さんは、深く深く息を吐く。
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