第5章 ミサンガの行方
(いや、違うでしょ。
大会は終わっちゃったけど、いいじゃん。
後悔を後悔のまま終わらせる事が1番ダメだ。)
「二口さん。あのちょっと待っててください。」
私は急いで部室に戻り、自分のカバンの中からミサンガを引っ張り出し、また体育館へと戻った。
(走ったから少し息が上がってるけど、関係ない。今、言うんだ。)
「あの、これあげます。これが渡そうと思ってたものです。普段使ってるものとかじゃないんですけど、気持ちを込めて作りました。今更遅いですけど、どうしても渡したくて。」
そう言って、震える手で二口さんにミサンガを差し出す。
二「大会前日にわざわざ作ってくれたの?俺のために」
私は力強く頷く。
二「なー、それってさ、俺期待していいの?」
(期待?なんの事だろ。お守りの効果の話か。しっかり願いを込めながら編んだし、大丈夫なはず。)
「はい。!!効果を保証は出来ませんが、きっと大丈夫です。」
はぁぁぁぁぁ。また盛大にため息を着く二口さんを困惑した顔で見つめてみる。少し不貞腐れた顔をした彼がまたサーブ練を再開したので、静かに見守った。
鎌「おい!!誰だオフの日に体育館使ってんのは!」
勢いよく体育館へ入ってきたのは鎌先さん。あまりの大声にびっくりして背筋が伸びる。
二「げ!めんどくさいのが来た。」
鎌「おい、二口。先輩に向かってめんどくさいとはなんだよ。太平洋に沈めてやろーか。」
二「先輩こそ、大事な大事な就活はどーしたんですか。」
鎌「今日のオフの理由グループで送ったろ。就活じゃなくて会議だよ。くっそ、こんな事ならお前を推薦なんてすんじゃなかったわ。」
二「は?推薦ってなんの話ですか全く。先輩は話の順序というものを知らないから相手に伝わらないんですよ。筋トレのし過ぎで脳みそやられちゃいましたか?」
鎌「いくらなんでも言い過ぎだろテメェ。ぜってーいつか殺す。」
茂「おいおい、何やってんだよ全く。そんな話しに来たんじゃないだろ、鎌やん。ほんとお前ら仲悪いよなー。二口、お前に話があってきたんだよ。次期キャプテンはお前だから、よろしくな。」
笹「まー、満場一致だったわけだし、頼むよキャプテン。」
二「、、、っ、、!!」
茂「声にならないって感じだな。鎌やんもあんな事言ってっけど、お前の実力と努力を買ってんだよ。」
