• テキストサイズ

ツンデレな彼を落としたい

第5章 ミサンガの行方


最近おかしい。
二口さんを見ると、嬉しくなるらしい。
大会で負けて悔しそうな顔もからかってくる時の楽しそうな顔も連絡先聞いてきた時の少し照れた顔も。もっと色んな顔が見たいなんてどうかしてる。
現に今も一生懸命サーブ練をしている二口さんを見ると目が離せない。

二「なぁ、隠れてるつもりなのそれ。体のほとんど体育館の戸から出てるし。チョ○パーかよ。」

心が先走って、上手く隠れられてなかったみたい。
戸惑う私に二口さんは

二「入ってきたら、?」

緊張して上手く話せないながらも、頷き、体育館へと足を踏み入れた。
お互いに会話がないまま黙々とサーブ練をする二口さんを眺める。
二口さんも気まずくなったのか、声をかけてくれた。
その言葉は、予想の斜め上過ぎて初めは理解できなかった。

二「インハイ予選前さ、あんなメール送って悪かったな。大会前でテンションおかしかったわ。正直引いたろ?」

(そんなマイナスな考えに至るものなのかな?私返信したよね、明日楽しみにしててくださいって。なんで、?)

「え、?なんでそう思うんですか?」

二「だって、既読無視だったし、お守り渡してくんなかったじゃん。」

急いでスマホを取りだし、二口さんとのやり取りを見返す。

(うわ、ほんとだ。何を渡すか悩むあまり、返信もせずにミサンガ編んじゃってたんだ。)

「誤解です!私、違うんです。その、えっと、むしろ嬉しかったんです。頼りにしてくれてるんだなって。返信してなくてすみませんでした。何を渡せば喜んで貰えるかなって考えてたんです。当日渡せなかったのは、皆ピリついてたし、渡せる雰囲気じゃないなって思っちゃって。それでも渡そうと思ってました。でも、タイミング逃しちゃったみたいで。だから、勘違いさせてすみません。」

必死に謝ってると、はぁぁぁぁーって盛大な溜め息が聞こえてくる。怖くて顔あげられないよ。

二「何だよもう。完全に引かれて嫌われたかと思っただろ。俺のこの気持ちどーしてくれんだよ」

口を尖らせながら子どもみたいに不貞腐れてみせるから、つい笑っちゃった。

二「わりーかよ。なんか、凛ちゃんの事になると上手く出来ねぇ。いつもは何でも器用にこなせるのになー」

独り言のようにブツブツ呟く彼。

(あぁ、勇気出して渡せばよかった)
/ 127ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp