第5章 ミサンガの行方
☆凛side
インハイ予選明けの月曜日。
3年生が次期キャプテンを決める話し合いを行う事と、選手達の疲れを回復させる為、今日の部活はオフらしい。
オフって言っても、選手達の事だ。何人かは自主練に来ているのだろう。いてもたってもいられなかった私は学校が終わると、ミサンガ片手に家とは反対の方向へと歩き出した。駅の公衆トイレで伊達工ジャージに着替え、歩いて伊達工に向かう。体育館の前を通ると、案の定練習をしている音が聞こえてくる。
覗いてみると、2年生をはじめとした部員たちが練習をしている。そこには舞さんの姿も。そこは何故か別世界のように感じて、入るのを躊躇する。
(あぁ、平日は私の関われない曜日だ。返って邪魔になるかもだし、やっぱり帰ろうかな。)
来たばかりで引き返すのもなーなんて思ってとりあえず部室へとお邪魔する。部室は練習で使ったであろうビブスが床に散乱していた。舞さんの事だから部員たちを優先させて片付けは後回しになってるんだろう。そう思った私はビブスを集め洗濯し、干しておいた。他にも散らかった冷却スプレーの缶やテーピングを籠へともどし、部室を綺麗に掃除していた。
何人かの部員が自主練を切りあげ部室へと戻ってきた。何となく鉢合わせたくない私は、ロッカーに隠れようかとも考えたが、空のロッカーなど無く、無理な話だった。
部員「凛さん来てたのかよ!体育館入ってくればよかったのに。てかめっちゃ部室綺麗になっとる!あざーっす。」
「いてもたっても居られなくてつい来ちゃった!平日はマネージャーじゃ無いし、体育館入るのも迷惑かなって」
部員「いや、考えすぎ。ちゃんと伊達工男バレの一員よ凛さんは!」
「ありがとう!!」
お疲れしたーって言いながら、部室を後にして行くみんな。流石にもう誰も残ってないのかなと思いつつ、体育館に行ってみると、そこには1人黙々とサーブ練をする二口さんの姿があった。