第1章 始まりの春
☆凛side
お昼を食べ面倒臭い5限が始まる。始めの授業だった事もあり先生の自己紹介や授業の進め方など、さほど聞かなくても問題の無い内容ばかり。5限だった事もあり、みんなウトウトと眠そうだ笑
ボーッと窓の外を眺めながら思い出すのはあの時のこと。
親友の友達とバレーをして遊んでいると、目覚めるとそこは病院だった。あの日から1週間は経っていたそうだ。母に聞くと心臓が止まってしまって救急車で運ばれたと。
退院して家に帰ると兄が居ない。不思議に思った私は母に尋ねた。
「優衣はどこに行ったの、?」
「優衣はバレーを本格的に練習する為に、海外に住むことになったのよ。ほら、いたじゃない、お父さんの親戚の方にプロのバレーボール選手が!優衣に会えなくて寂しいかもだけど優衣が決めたことだから凛もあんまり寂しがっちゃダメよ」
なんて言う母は今にも泣きそうな顔だった。
その時の私は親友も兄も急にいなくなってしまった喪失感で毎日部屋で泣いていた。親友の事については母は何も教えてくれなかった。ただ他所には他所の事情があるとだけ
兄が居ない寂しさから兄の部屋へ行こうとした事もあったが、鍵がかかっていて入れないのだ。母は戸が壊れただけだって言ってたけど、この日から漠然と子供ながらに違和感を感じていた。
あの日から6年高校生になっても優衣からの連絡はなく、父や母も優衣の話をしない事、お母さんに至っては優衣の話題を避けているようにすら感じる
私の仮説が年々確信へと変わっていく
(優衣はもう死んだのだと)
国 「ねぇ、、 凛、凛!!授業終わってるよ」
国見くんの声で目が覚めた。いつの間にか寝ちゃってたみたいだ。思い出すのは春だからだろうか、辛い記憶に蓋をして国見くんに笑いかける
「ごめん、笑 爆睡しちゃってた💦
起こしてくれてありがとう!5限は睡魔との戦いだねぇ」
国 「いや、流石に授業終わりの挨拶では起きるでしょ。凛は災害起きたら真っ先に死にそうで心配なんだけど 」
なんて真剣に言うから少し元気になって笑っちゃった。