第5章 遭遇
"個性"は善にも悪にも染まる。
それをどう活かすのか、それとも殺すのか。
使い道は人それぞれなんだろけど、ここにいる人たちは当たり前だけどいい方向へと使おうとしている。
誰かを救けるための力、か。
ちくり、と胸に何かが引っかかった。
私が救けたいのは、本当に救いたいと思っているのは―――。
「一かたまりになって動くな!!!!」
その時だった。
相澤先生の声が大きく響き渡った。
「13号!!生徒を守れ!!」
何事かと、相澤先生の視線の先を辿り思考回路が停止した。
目の前に広がる光景に、誰も何も理解できないのか、できたとしても身体が動かないのか、どちらにせよ、私達は目の前の現実を受け入れるのに時間がかかったということだけは確かだった。
命を救える訓練時間に、私達の前に現れたのは悪意を持った人間たち"ヴィラン"だった。
プロヒーローが何と戦っているのか、何と向き合っているのか、この時初めて身を持って知った。
「先生、侵入者用のセンサーは!」
「もちろんありますが……!」
「現れたのはここだけか学校全体か……。何にせよセンサーが反応しねぇなら、向こうにそういうことが出来る"個性"がいるってことだな」
冷静に今の現状を分析する轟くんに、真っ白になっていた思考回路が正常に運転をし始める。
校舎と離れた隔離空間、少人数の生徒に教師陣。
それを狙ったのだとしたらヴィランはなんらかの目的があって用意周到に画策された奇襲だと相澤先生は言った。