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【僕のヒーローアカデミア】雨上がりの詩は星の色

第6章 雄英体育祭







そんなこんなでくじ引きが終わり、私が対戦する初めの相手は上鳴くんとなった。

「初戦は廻かぁ。悪ぃけど俺負ける気ねえから」
「うん。私も全力で戦うよ」

彼の"個性"は強力だ。
対策を練らなければ瞬殺されしまうだろう。
その前にレクリエーションがある。
チアの衣装を着たからでるけど、爆豪くんと緑谷くんはで……なよね。
聞くまでもないことだったかも。

「おい」

その時、爆豪くんに声を掛けられた。
何も用がない時に爆豪くんは無意味に話しかけたりしない。
なにかあったのだろうか。
そう思っていると「話したンか」と静かにそう言った。
何を、なんて聞かずともわかった。

「原因とか詳しい事は話してないよ。でも、話そうかと思ってる」
「……………」
「でも、男子にはまだ……無理、かも。女子だけ、にする予定」

誰も言ってこないけど、男子たちも気づいているし気になっているだろう。
私の身体に残る無数の傷跡を。
爆豪くんは眉間に皺を寄せたままだ。
いつもと変わらない表情なんだけど、どこか怒っているような感じがするのは気のせいだろうか。

「………そうかよ」
「あ、の。爆豪くん」
「ンだよ」
「……トーナメント、頑張ろうね」
「仲良しこよしじゃねんだよ。全員ぶっ倒して俺が一番になる」

そう言って、爆豪くんはどこかへ行ってしまった。
本当は、側にいて欲しいと言いたかった。
パニックを起こした時、粗相をした時、いつも助けてくれたのは爆豪くんだから。
でも、言えなかった。
私のわがままで爆豪くんを縛りたくなかった。

正直、A組の女子たちに話すのも怖い。
彼女たちはとても聡明で優しいから、きっと泣いて私を抱きしめてくれる。
それが怖いんじゃない。
その優しさに甘えてしまう私が怖いんだ。





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