第5章 遭遇
「除籍……!?」
「ち、ちが……!!言葉のあやっていうか……今はまだ違くて!!」
「今は!?じ、じゃあ……!!」
「あぁ、そうじゃなくて……!!あの、除籍は違くて!違くはないけど、だから、えと、えと……。その、つまり……じ、除籍にならないように頑張ります!!」
ぐっと握りこぶしを作ってみたけど、除籍一歩手前だと言う事は変わらない。
光己さんがすごく怖い顔してるのが見えて、私は慌てて家を飛び出した。
絶望どころの話じゃなかった。
殺されるところだった。
がんばらないと、本当に。
先に家を出た爆豪くんの背中を見つけ、私は「爆豪くん!!」と大声をあげた。
眉間に皺を寄せた彼はいつも通りの顔なんだけど、どこか楽しそうに見える。
「ンだよ」
「なんでああいうこというの?」
「事実だろうが」
「うぅ……」
「つうか、隣歩くんじゃねえよ」
「……ごめん」
並んで歩くと変な噂が立ってしまうもんね。
彼の背中を見つめながら歩く風景は、小さい頃から何も変わらない。
変わったとしたら、彼の背中が少しだけ猫背になったこととその背中が大きく見えるようになったことくらい。