第5章 遭遇
雄英高校に入学してから数日。
コミュニケーションをとるのが下手くそな私は、なかなかクラスの人達と交流ができずにいた。
唯一、交流できるのは前の席の尾白くんと常闇くんの"個性"であるダークシャドウ、そして必然的に常闇くんといったところか。
女子の中でよく話すのはあす……梅雨ちゃんくらいかな。
「学校は楽しいかい?」
朝食を取っていると勝さんがニコニコと笑って話しかけてきた。
まだ入学して日が浅いから、正直なところなんとも言えないけど、これだけは言える。
「授業が…大変、です」
「それは、つまり……」
「………………」
「………………」
私と勝さんとの間に静かな時間が流れる。
まるでここだけお通夜だ。
言えない、既に授業についていけないなんて。
この反応をみれば一目瞭然なんだけど、口に出せない。
出してしまったら今以上に絶望させてしまう。
「除籍まっしぐら野郎、いつまで食っとンだ」
時計を見れば、家を出なくてはいけない時間で思ったよりのんびりとしすぎていたみたい。
……って、今爆豪くんなんて言った?
除籍って言わなかった?
それは言ってはいけない2文字。
壊れた人形のようにゆっくりと勝さんをみると、大きく目と口を開いて驚愕の表情をしていた。