第2章 それは「運命」で「偶然」で「必然」の出来事。
あれ、と指を差して視線を誘導させた時、目に映る光景に言葉を失ってしまった。
ペットボトルに入っていた液体は、どうやらただの液体ではなかったみたい。
ドロドロしたそれは私に向けて大きく口を開けた。
まるでスローモーションのように、そいつの動きを目で追うことしかできなくて、世界が、時間が、止まった感覚さえした瞬間、強い衝撃が身体中を駆け巡った。
気付け私は地面に尻餅をついていた。
そして目の前では、ヘドロが爆豪くんの事を飲み込んでいた。
「やべえ!!」
「逃げろ!!」
友人2人は一目散にその場を離れたけど、私はその場を動けずに固まってしまった。
「爆豪、くん……」
飲み込まれそうになった私を、爆豪くんが突き飛ばしたのだと今、はじめて、漸く、理解できた。
「はや、く……ここから、はな……れろ……」
苦しい中、爆豪くんと目が合った。
自分を守ってくれた爆豪くんが今必死にヴィランに抵抗している。
爆破を何度も起こしながら、飲まれないように……。
私のせいだ。
私のせいで爆豪くんが。
少しずつ息が上がっていくのが自分でもわかった。
頭の中は真っ白でどうしたらいいかわからずに、ただ爆豪くんが抵抗する様子を見ているしかなかった。