第4章 戦闘訓練
「おしまいよ」
よそ見をしていた私の腕に蛙吹さんがテープを巻きつけようとした。
その刹那だった。
壁から白い煙が噴き出し、私たちの身体を包み視界を塞いだ。
「煙幕……!?」
「廻の"個性"か!?」
「ううん、私の武器の中に煙幕なんてないよ。これはそうだね、簡単に言うと手品の一種かな」
煙幕を吸い込んだ彼らは大きく咳込み、その場に膝をついた。
その様子を少し離れた場所で静かに見つめる。
〚廻!?大丈夫か!?〛
「瀬呂くん。うん、大丈夫。なんとか足止めはできてるよ」
〚俺か切島のどっちか助太刀に行こうか?〛
「まだ平気。でも思ったより連携が取れてるから、ヤバくなったらまた連絡する」
〚了解!!〛
煙が薄れてきた頃、もう一つ仕掛けたタネを動かした。
なんてことない、ただの爆竹なんだけど彼らはその音を銃声だと聞き間違え、音のした方とは真逆の方へと走り出す。
どうやら誘い出すための罠だと思ったらしい。
「作戦成功」
でも、それこそが罠。
彼らが走り出した先にはもっとたくさんの手品が仕込まれている。
翻弄されているかな、今頃。
その隙に私は核兵器のある場所へと向かった。