第4章 戦闘訓練
「これでいいかな」
ある程度、仕掛けが終わった頃に耳につけている小型無線からオールマイト先生の開始の合図が聞こえた。
私はわざと音を立てて建物内を駆け回る。
こんなあからさまな行動に騙されるとは思えないけど、がむしゃらに走って走って走りまくった。
その時、2階の窓から蛙吹さんの姿が見えた。
私は咄嗟に物陰に隠れて彼らの行動を観察する。
「瀬呂くん、切島くん。ヒーローが2階の窓から潜入したよ。このまま私そっちの部屋に走るけど、動揺しないでね」
〚え、あ、おお……〛
無線を切って、私は軽く息を吐いた。
「見つけた」
物陰から姿を現すと、彼らの肩がびくっと動いたのが分かった。
私はハルバードを構えて、彼らとの間合いを詰めようとした。
が……。
「ダークシャドウ!!」
常闇くんの個性なのか、黒い影が私に向かって伸びてきた。
ハルバードで攻撃するも、簡単にいなされてしまう。
物理攻撃が効かないとか思いもしなかった。
軽く舌打ちをして私は背中を向けて走り出す。
「待てっ!!」
「待って常闇ちゃん。罠かもしれないわ」
……なんて勘のいい人なんだろう、蛙吹さん。
さて、どうしよう。
私の考えた作戦が一つ崩れた。
でも、まだだよ。
錯乱するっていったこと、果たさなくちゃ。