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【僕のヒーローアカデミア】雨上がりの詩は星の色

第4章 戦闘訓練






「爆豪くん……」

モニターに映る彼らの動きは分かっても、会話は聞こえない。
だけど、爆豪くんがすごく苛ついているのだけは分かった。

戦闘はどんどんヒートアップしていく。
爆豪くんの攻撃をただ避けて逃げるしかない緑谷くんだけど、余裕がないように見えるのは爆豪くんのほうだ。

「しかし変だよな……。なんで緑谷の奴、"個性"を使わないんだ?」

確かに切島くんの言う通りだった。
なんで緑谷くんは"個性"を使わないんだろう。
怪我をするから使わないなんてそんな馬鹿げた理由があるだろうか。
だってこれは戦闘で訓練で「ヒーロー」としての基礎を見るための授業だ。

その時、2人の激情がぶつかり合うのがモニター越しでもわかった。
このままいけば、どちらかが大怪我してもおかしくない。
これは授業だ。
負傷者を出しては意味がない。
分かっている。
普通であればここで中止にするのが妥当だ。
でも、たぶんきっと2人には必要なことなんだと思う。

「双方……中止……」
「止めないでください」
「廻!?」
「このまま、続けさせて。2人のこの先の未来の為にも」
「廻少女……」

強制終了させようとしたオールマイトの声を遮った。
これでいい。
このまま彼らの行く末を見守りたい。
私の我儘でエゴだ。
それでも、私たちの絆を修復するためには大切なものだと思ったから。

そう思った瞬間、緑谷くんは振りかざした拳を爆豪くんにではなく、真上へと放った。
爆豪くんの拳はそのまま緑谷くんを殴り……。

「ヒーローチーム……WIIIIIN!!」

麗日さんが核兵器を回収し、緑谷くんたちの勝利が確定した。
負けた方は無傷で、勝った方がボロボロになって床に倒れている。
勝負に負けて試合に勝った、なんてそんな綺麗なことが頭に過ったけど、そんな美しい物ではないことは嫌でも肌で感じた。


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