第4章 戦闘訓練
家が近所だった私たちは小さい頃からの幼馴染。
幼いころから「やればできてしまう」タイプの爆豪くんは、ガキ大将で、良し悪しはともかく自信に満ちた彼の背中は、周りの子供たちからしたら憧れそのもので、人気者だった。
齢4歳で挫折を知った緑谷くんとは対照的に、一切の挫折を知らずに育った爆豪くんは、自尊心が爆発的に肥大化してしまった。
悪い方向へと。
思い出すのはあの日の出来事。
いつものように爆豪くんと緑谷くんと他の子達と一緒に遊んでいた。
大きな丸太の上を歩いていた時だった。
爆豪くんが足を滑らせて浅い川に落ちた。
私も含めて他の子達は「大丈夫だろう」と心配なんてしなかった。
だって、あの「爆豪勝己」だからと。
でも、緑谷くんだけは違った。
川に落ちた爆豪くんを「心配」して「助けよう」と手を差し出したのだ。
『大丈夫?たてる?』
彼にとってはそれは最大の屈辱。
見下された、と思ったに違いない。
そこからだろうか。
緑谷くんが爆豪くんに張り合おうとすることに対して、嫌悪感を抱くようになったのは。
そして、あの出来事が起こってしまった。
『!!』
『ちゃん!!』
2人の心配する顔が脳裏に蘇る。
ぼやける視界の中、伸ばされた手を掴んだと同時に温もりに包まれた。
その温もりに安心して気を失ってしまったけど、確かにそこには優しさがあった。