第4章 戦闘訓練
グラウンドβへ行くと、既に何人か集まっていた。
それぞれのコスチュームは個性的で、まるで本当に……。
「格好から入るってのも大切な事なんだぜ、少年少女!!自覚するのだ!!!!今日から自分は……ヒーローなんだと!!」
ヒーローがそこにいるみたいに見えた。
今から行われる屋内での訓練は"対人戦闘"訓練。
オールマイトは言った。
ヴィラン退治は主に屋外で見られることがある。
だけど統計では屋内の方が凶悪ヴィランの出現率は高いと言う。
思い当たる節は私たちにはあった。
オールマイトは続けて言った。
監禁・軟禁・裏商売など、ヒーローが飽和した今の社会では、小賢しいヴィラン程、屋内に潜むと言う。
監禁……。
その言葉に、私は自分の腕をぎゅっと握り締める。
思い出すな。
私はもう、"そこ"にはいない。
早くなる動悸を抑えるために、息を深く吸ってゆっくりと吐き出した。
「ちゃん、大丈夫?」
「緑谷くん……。うん、大丈夫」
「そっか。ならよかった」
私のことを心配してくれた緑谷くんが優しく話しかけてくれた。
昔と変わらない柔らかい笑顔に、先ほどまでの激しい動悸は嘘のように治まった。
「君らにはこれから"ヴィラン組"と"ヒーロー組"に分かれて、2対2の屋内戦を行ってもらう!!」
どうやら基礎訓練をしないのは、その基礎を知る為だという。
実践形式でやれば誰がどの程度まで動けるかを把握できるし、なにより今の自分に足りないものも即座に分かる。
なんて、合理的なんだろう。