第3章 はじまりの季節

の声を遮り爆豪は鋭い眼光で睨みつけた。
爆豪が緑谷のことを見下し苦手意識があるのは当たり前だが随分と前からわかっていた。
自尊心の塊であり完璧主義の爆豪にとって緑谷はそこらへんに落ちている石ころのような存在だった。
それなのに、"あの日"、緑谷が爆豪に手を差し伸べたことで、彼のプライドが酷く傷ついてしまった。
そして今も、無個性だと思っていたのに強力な個性を隠し持っていた。
二度も爆豪のプライドを傷つけたのだから、到底許せるはずもない。

拗らせてるなぁ。
でもそうなってしまったのはたぶんきっと私のせいなんだろう。

それ以上は何も言わなかった。
爆豪の少し後ろを黙って歩く。
爆豪が緑谷を気にかける様に、もまた爆豪を気にかけていた。
何かの拍子に爆豪が変な方向へと落ちてしまわないように、見ていてほしいと光己に言われているから。
彼を止める事ができるのは現状しかいないと頼まれたから。
彼女は言われた通りに素直に彼を見守るだけだった。