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【僕のヒーローアカデミア】雨上がりの詩は星の色

第3章 はじまりの季節






――Other side――



個性把握テスト終了後、一足先に校内へ戻ろうとした相澤の元にオールマイトが姿を現した。

「相澤くんのウソつき!」
「オールマイトさん……。見てたんですね……。暇なんですか?」

辛辣な言葉をものともせずに、オールマイトはどこか嬉しそうに口を紡ぐ。

「"合理的虚偽"て!!エイプリルフールは一週間前に終わってるぜ。君は去年の一年生……一クラス全員除籍処分にしている」

合理的主義を徹底し、見込みがないと判断すれば迷わず切り捨てる。
これまでの除籍指導回数は通算154回という数字を持っていながら、今回は合理的虚偽だと言い放ち前言撤回をした。

「それってさ!君も緑谷くんに可能性を感じたからだろう!?」
「………君"も"?ずいぶんと肩入れしてるんですね……?先生としてどうなんですか、それは……」

ぎくりと肩を震わせるオールマイト。
相澤はオールマイトに背を向け歩き出し、後ろにいる彼に言葉を投げた。

「"ゼロ"ではなかった。それだけです。見込みがない者はいつでも切り捨てます。半端に夢を追わせる事ほど残酷なものはない」

命懸けのヒーロー業を生き抜く将来を見据えての判断で、それは彼なりの優しさの表れだった。

「それは、廻少女にも言えることなのかな?」

相澤は思わず歩みを止めて振り返った。
白い歯を見せて笑うオールマイトは、「いつもなら廻少女のような子はすぐにでも除籍にすると思っていたよ」とどこか楽しそうだった。

「……先ほども言いましたが、"ゼロ"ではなかっただけです」

そう言って今度こそ相澤は背中を向けて去って行った。

「本当かなぁ……?」

除籍にしなかったのは何か理由があるのかもしれないが、それ以上追求しようとは思わなかった。



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