第3章 はじまりの季節
最下位は除籍。
当然だけど、その理不尽さを受け入れられないクラスメイトは多数存在した。
「自然災害……大事故……身勝手なヴィランたち……。いつどこから来るか分からない厄災。日本は理不尽にまみれている。そういうピンチを覆していくのがヒーロー」
雄英は3年間、全力で彼らに苦難と苦難を与え続ける。
相澤先生はそう言った。
その苦難を乗り越えた先に私たちが目指すヒーロー像が存在するのだとしたら、それを乗り越えなくちゃいけないということ。
「"更に向こうへ、Plus Ultra"さ。全力で乗り越えて来い」
でもストレーションも終わり、本番がいよいよ始まる。
第1種目は50m走。
出席番号順に2名ずつ走るが、そうすると1名余ってしまうため最初の組だけ3名で走ることとなった。
私は出席番号6番の尾白くんと一緒にスタート地点に着く。
スタートの合図と共に地面を蹴り上げる。
個性は使わなかった。
使ったとしても役にたたないどころか邪魔になる。
私とは正反対に尾白くんは個性である尻尾をうまい事使用し、ゴールへと到着した。
「8秒42!!」
誰よりも遅いタイム。
個性をどう使うかが問題であるのに、どう使えばいいのかわからない。
最下位に一番近いのは私だ。
頭の中が真っ白になりそうになりながら、「今」できることを精一杯探し続ける。
第2種目、握力、28㎏w。
第3種目、立ち幅跳び、192.47㎝。
第4種目、反復横跳び、67点。
次々種目が終わる中、私と緑谷くんだけが記録的な数字をだしていない。
ボール投げでは、麗日さんが無限という驚異的な数字を叩きだした。
このままではどちらかが―――いや、総合成績を見れば私が最下位なのは明白。