第3章 はじまりの季節
緑谷くんと軽く話した後、自分の席に戻ろうとした時「なぁ」と金髪の少年に声を掛けられた。
上鳴電気、と名乗った少年は「あのもじゃもじゃ頭と知り合い?」と聞いてきたため、静かに頷いた。
「ツンツン頭の口悪い人も同じ中学で幼馴染なんだ」
「へぇ!!幼馴染3人でヒーロー科入学とかすげえな!!」
「上鳴くんもヒーロー科じゃん。すごいよ」
「……だよなぁ。まだ実感わかねえわ」
上鳴は白い歯を見せて笑った。
名前に恥じない明るい人だ。
彼に対する第一印象が決まったと同時くらいに、黄色い寝袋に入った男性が横たわりながら姿を現し、先ほどまでざわついていた教室内は一気に静寂に包まれる。
「ハイ、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限。君達は合理性に欠くね」
癖のある長い髪、伸ばしっ放しの無精ひげ、真っ黒い服に身に包み、布をマフラーのように巻いたくたびれた外見の男性が、この学校の先生であり尚且つA組の担任であることに驚きを隠せない。
どうみても、不審者にしか見えないと思うのは私だけかな。