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【僕のヒーローアカデミア】雨上がりの詩は星の色

第3章 はじまりの季節






まだ夢の中にいるような気分だった。
頭の中でずっと「合格」という言葉がリフレインし続ける。
噛みしめて、漸く咀嚼できた時、ずっと張っていた緊張が一気に解放され、冷え切っていた体温は熱を取り戻していく。
心臓はまだ脈を打ち続けているが、先ほどと違い息苦しさはない。

「よかった……」

安心から自然と零れた言葉。
大きな息を一つ吐いて、私は手紙の中に入っていた一枚の紙を手にした。
そこにはヒーロー科への合格通知とクラスが書かれていた。

「1年A組」

自分のクラスを確認した後、光己さんと勝さんに報告しに部屋を後にした。
すると、同じタイミングで爆豪くんも部屋から出てきた。
手に持った一枚の紙、視線をそれに向けた時、見えてしまった二つの文字。

「おめでとう」
「何勝手に見とんだ、殺すぞ」

眉間に深く皺を寄せる爆豪くんは、視線をまっすぐ私に向けた。
まるで「てめぇはどうだったんだよ」とでも言いたげなその顔に、私は軽く頭を下げて「ありがとうございます」とだけ言った。
最初こそ意味が分からなかった爆豪くんであったが、その意味を理解した瞬間、「てめぇ、ふざけんなっ!!」と今にも爆破しそうな勢いで追いかけてきた。

「私の勝ちなんだから、怒んないで」

と必死になって逃げ回るけど、もしかしてこれって火に油を注ぐってやつだったりする?
家中を走り回り、最終的に光己さんに仲良く説教されたことは言うまでもなく、それと同時に2人とも雄英のヒーロー科に合格したと知ると、うっすらと瞳に涙を浮かべて優しく抱きしめた。
爆豪くんは「放せ、ババア!!」と文句を垂れていたけど、文句を垂れるだけで暴れることはせず、私は抱きしめられる温もりをただ感じていた。


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