第3章 はじまりの季節
絶望。
この2文字が彼女の頭を過った時。
『終了~~~!!!!』
終わりの合図が会場全体に轟いた。
足を上げたまま、ギミックは動きを止める。
あと数秒遅かったら潰されていたかもしれない。
そう思うと、冷汗が全身から溢れ出し、同時に安心から硬直していた身体は緩み、無意識に呼吸を止めていたためか、自分が今正常に呼吸をしていることに気が付く。
これが現状なのだと、突きつけられ悔しさと情けなさで涙が溢れそうになる。
はすっかり忘れていた。
"お邪魔虫"であるギミックは0ポイント。
例え倒したとしても、ポイントにはつながらなず一つもメリットのないギミック。
だからこそ、色濃く浮かび上がるのだ。
ヒーローの大前提である、自己犠牲の精神というものが。
自分の身の安全より、彼女は選んだ。
市井の平和を。
彼女だけが無意識にうちに考えていた。
ここは現場である、と。
だからこそより迅速に、より最善の策をずっと考えて動いていた。