第3章 はじまりの季節
――廻side――
次の日、先生に進路希望の紙を提出したら昨日の光己さんや勝さんと同じような顔をしていた。
なんなら、「お前には無理だ、諦めろ」と露骨な表情をしていた。
「………本気で目指すなら死ぬ気で勉強しなさい」
「はい」
先生は、ふぅと息を吐いてそう言った。
その日から毎日昼休みの30分と放課後の時間を使って、先生に勉強を見てもらい、家に帰ったら勝さんに勉強を見てもらった。
分からないことだらけで最初こそ先生や勝さんの解説が呪文のように聞こえていたけど、少しづつ理解できるようになってからは自分一人でも机に向かう時間が増えてきた。
それは勝さんたちの根気の良さがそうさせたのは明白だけど。
本当は爆豪くんにも教えてもらいたかったけど、めちゃくちゃ睨まれたし舌打ちもされて教えてもらう事はできなかった。
勉強を真面目に取り組んでから早数週間。
私の成績はぐんとあがって、クラスメイトや先生たちは目を丸くさせていた。
自分でも手応えを感じて、解ける問題も多くなって、少しだけど勉強するのも悪くないなと思い始めた。