第2章 それは「運命」で「偶然」で「必然」の出来事。
光己さんのその発言にどこからか「ぐふっ!」という噴き出したようなくぐもった声が聞こえた。
爆豪くんは口を抑えていて、その肩は震えているように見える。
「単刀直入に言うけど、今のあんたの成績じゃ確実に100%落ちるわよ」
「……………勉強、頑張ります……」
「一応、滑り止めの高校も考えておきなさい」
「はい………」
そうして、第一回家族会議は終了したわけだが。
苦手な勉強を死ぬ気でやらなければいけないという憂鬱さを抱えたままリビングをでた。
部屋に戻る時、後ろの方で爆豪くんはずっと肩を震わせている。
「どうしたの、爆豪君。具合悪いの?」
「ふっ、くっくっ……。るせーよ、黙ってろよ」
声も震えてる。
「なんで笑っているの?面白いことあった?」
「別に。……つうか、雄英目指すんか」
「うん、死ぬ気で勉強しないと受からないって」
「ぶっ、く……。そりゃそうだろうな。模試の合計が3桁以下ってどこの高校も受かんねぇわ」
なおも笑い続ける爆豪君。
そんなに人の点数がおもしろいのか。
「もし受かったらどうするの?」
「あ?受かるわけねえだろ、万年赤点野郎が」
「もしもの話」
「………そしたらテメェの言う事一つ聞いてやらぁ」
「約束だよ、それ」
「おー」
「わかんないとこ教えて」
「は?嫌だわ」
べっと赤い舌を出して爆豪君は自分の部屋へと戻って行ってしまった。
しょうがない。
わかんないところあったら緑谷くんに聞こう。
そう思って、この日私は勉強机にノートを広げたまま、眠りについた。