第2章 それは「運命」で「偶然」で「必然」の出来事。
「だってもし間違いだっていうなら、それを否定してしまったら。私を救ってくれた2人のことも否定することになる。そうでしょう?そんなの、嫌だって思った。間違いじゃないんだって証明したい」
私は、緑谷くんと爆豪くんに助けられた。
すごくうれしかった。
本当にうれしかった。
だから、私はヒーローになりたい。
あの時の彼らを否定したくないから。
「ちゃんの気持ちはよく分かった。そのうえで僕の意見を聞いてね。あの時、ちゃんと出久くんの行動は間違っていないよ。でもね、誉められるべきものではない。それはわかるね?結果的に3人とも大きな怪我をすることもなかったけど、それは結果論だ。最悪死んでしまってもおかしくなかった」
勝さんの声はとても優しくて、でもその奥からは怒りや心配の色も混じっていたような感じがした。
私は勝さんの言葉に何も言い返すことができなかった。
正論ほど、胸にくるものはない。
「でも、君の言っていることもよくわかる。だからかな。僕は少し安心しているんだ」
「え?」
「こんなふうに君が何かをやりたいと言ってくれたのは初めてだろう。もっと言ってくれてもいいのにって思ってたから」
「勝さん……」
「僕たちは君のことを応援するよ。ね、光己さん」
眉を下げてへにゃりと笑う勝さんは、先ほどから一言も喋らない光己さんに目を向けた。
光己さんも勝さんと同じ気持ちだと思った。
でも光己さんの瞳はとても鋭くて、真っすぐ私を見つめている。
私も勝さんも驚きを隠せずにいると、「私は反対」と静かな声がリビングに響いた。