第2章 それは「運命」で「偶然」で「必然」の出来事。
朝、目覚めると、朝刊やニュースでは昨日のことでもちきりだった。
強力なヴィランが中学生を襲ったがオールマイトの活躍により、無事ヴィランを確保、中学生に目立った外傷はない、と報じられていた。
緑谷くんや私のことは一切報じられず、新聞には"中学生2名が飛び出し―――"なんて書かれていた。
ネット掲示板では助けに入った中学生に対しての誹謗中傷が多く書き込まれ、私はそっと携帯の画面を閉じた。
世間から見たらやはりあの行動は非難されるものだったのだと痛感し、同時に憤りも感じた。
学校でも話題は昨日のことで持ち切りだった。
「昨日はやばかったらしいね、爆豪くん!!」
「今朝のニュース見てびっくりした」」
「にしてもやっぱりすげえよな、あんなヴィランに抵抗し続けるなんて……」
別のクラスでもこんなに持ち切りなんだ、彼のクラスではきっと取り囲まれているに違いない。
誰も爆豪くんの心配を本気でする人はいない。
心配しているふりをしているだけだ。
爆豪くんも爆豪くんで心配されるのを望んではいないけど、こんな風に集られるのはもっと望んではいないだろうな。
「爆豪に話聞いてみようぜ!!」
「隣のクラスやべぇ、すげえ人だかり!!」
どこか楽しそうに、どこか面白そうに、興奮する人達。
まるでマスコミみたいだ。
気になるのは、彼の怪我でもなんでもなくその時の状況。
それを知って事件の内容を知った気になり、そして「あいつは中学の時の同級生だったんだ」と鼻を伸ばすのだろう。