第2章 それは「運命」で「偶然」で「必然」の出来事。
――廻side――
爆豪くんに先に帰れと言われた私は、その言葉通りに先に家に帰っていた。
玄関を開けると、警察から事情を聞いていた光己さんと勝さんに力強く抱きしめられた。
その後少しして爆豪くんも家に帰ってきて同じように抱きしめられていた。
悪態をつきながらもその腕を振り払わなかったのは、彼なりに心配を掛けてしまった事への罪悪感があるからだろう。
少し遅めの夕食とお風呂を済ませそのまま眠ろうとした私に、同じく夕食とお風呂を済ませた爆豪くんが「おい」と声を掛けてきた。
「俺を救けたつもりか?」
その声には怒りの色が見えた。
見下されたのだと思ったのだろうか。
彼の気高いプライドを傷つけるつもりはなかったけど、結果的にそうさせてしまった。
「俺はてめェらとは違う。救けなんざ、いらねぇんだよ……!!」
「……うん。ごめん」
眉間に深い皺を刻んで爆豪くんは私を睨みつけた。
この瞳が私はとても苦手でとても怖い。
機嫌を損ねないように、ただ、謝ることしかできない。
「おやすみ、爆豪くん」
部屋に戻ろうとする爆豪君の背中に声を掛けるも、返事はなかった。
胸に残る寂しさと悲しさを抱きながら、私も部屋へと戻り、少しだけ明るい部屋の中、浅い眠りへと落ちた。