第2章 それは「運命」で「偶然」で「必然」の出来事。
「君もそうだったんだろう!?」
オールマイトの言葉に、なぜか僕は幼少期の事を思い出していた。
お母さんが何度も何度も泣きながら謝っていた。
"無個性"で生んでしまってごめん、と。
夢を、希望を、打ち砕いてしまってごめん、と。
違うんだよ、お母さん。
あの時僕が欲しかった言葉はそうじゃない。
嘘でもいい。
嘘でもいいから言って欲しかった言葉があるんだよ。
胸の内にこみ上げる熱い何か。
それは透明な雫となり、僕の目の前を歪める。
カッコイイと思った。
どんなに困ってる人がいても、笑顔で救すけるその姿に。
憧れた。
いつかそんなヒーローに。
そんなヒーローに自分もなりたいと思った。
目の前にいる憧れは。
泣きじゃくる"無個性"の僕に、偽りのない言葉を、心の中の本心を伝えた。
「君はヒーローになれる!!!」
それは、僕が、ずっとずっと欲しかった言葉。
オールマイトの言葉に、ボロボロになっていた夢が、光を放って開かれた。
傷付いて、血まみれになったプライドを、今は隠さずに、僕はずっと涙を流し続けた。