第2章 それは「運命」で「偶然」で「必然」の出来事。
「私が来た!!」
「わっ!?」
道の角から急に姿を現したオールマイトに心臓が止まるかと思った。
さっきまで取材陣に囲まれていた彼がなんでこんなところに……。
「抜けるくらいワケないさ!!何故なら私はオールマゲボォッ!!!」
筋骨隆々とした姿から血反吐を吐き、トレードマークの二本の角は垂れ下がり、いつものアメリカンチックな画風もがらりと変わり、骨ばった姿へと変貌した。
今から5年前、オールマイトは凶悪なヴィランと戦い、瀕死の重体を負ってしまった。
なんとか一命はとりとめたものの、その後遺症で今のようなやつれた姿になってしまった。
オールマイトの脚にしがみついて、偶然にも彼の本当の姿を知ってしまった時に聞かされた話だ。
「少年。礼と訂正……そして提案をしに来たんだ」
オールマイトはそう言った。
「君がいなければ……君の身の上を聞いてなければ、口先だけのニセ筋となるところだった!!ありがとう!!」
「そんな……いや、そもそも僕が悪いんです!仕事の邪魔して……"無個性"のくせに生意気なこと言って……」
「そうさ!!あの場の誰でもない。小心者で"無個性"の君だったから!!!私は動かされた!!」
オールマイトは続けて言った。
トップヒーローは学生時から逸話を残していると。
彼等の多くが話をこう結ぶと。
"考えるより先に体が動いていた"と……。