第2章 それは「運命」で「偶然」で「必然」の出来事。
あの後、家に帰ろうとした僕の身に起きたことを簡単に説明しようと思う。
ベトベトしたヴィランに襲われる。
死を覚悟する。
その時、突如現れたNo.1ヒーロー、オールマイトに救けられる。
サインをもらう。
聞きたいことがあって、去ろうとするオールマイトの脚にしがみつく。
オールマイトの本当の姿を知ってしまう。
僕の夢を、目標を、相談したら、「現実を見なくてはな」と諭されてしまう。
とまぁ、こんな感じです。
オールマイトの本当の姿を見た時は、驚きを隠せなかったし正直ショックだった。
それでも、どんな姿であろうと、彼が残した英雄伝説は本物だし僕にとっては最高のヒーローに変わりないんだけど。
そんな最高のヒーローが僕に言った。
"プロはいつだって命がけだよ。個性が無くとも成り立つとはとてもじゃないが、口にできないね"と。
それが事実で真実だ。
分かってた。
分かってたよ、最初から。
分かってたから、必死になっていた。
分かっていたから現実を見ないように―――。
視界が歪む中、僕の耳に喧騒が飛び込んできた。
辺りを見渡すとたくさんの人が商店街の入り口にたむろっていた。
まさか何かの事件でも起きたのだろうか。
ああ、クセで来てしまったと言うのか。
バカ、止めろ。
そっちに行くな、緑谷出久。
虚しくなるだけだって。