第2章 それは「運命」で「偶然」で「必然」の出来事。
ちゃんを睨みつけるかっちゃん。
肩を小さく揺らす彼女は、かっちゃんのあの瞳が苦手だ。
かっちゃんもそれをわかってやるんだから質が悪いよ、本当。
舌打ちと共に教室を後にする彼かっちゃん。
一人取り残されている僕にちゃんがそっと近づいた。
「大丈夫?」
「うん、いつものことだから」
「……まさか、自殺とかしたりしないよね?」
「し、しないよ!!するわけないじゃないか!!」
「そっか、良かった」
少しだけ小さく笑うちゃん。
久し振りに彼女の笑った顔を見たような気がする。
手を振って「じゃあ、またね」と言う彼女の名前を呼んだ。
情けなく震える声。
口を開いては閉じてを繰り返す。
僕が何か言うのを待ってくれているちゃんに、結局「やっぱりなんでもない」と笑う事しかできなかった。
僕は彼女にそれを聞いて、どんな答えを期待したんだろう。
"ヒーローになれるかな"なんて……。
そんなことをちゃんに聞いて、本当、どうするつもりだったんだろう。
外から投げられたノートを回収しようとしたら、学校で飼育している鯉のエサになっていた。
バカ、餌じゃないぞ。
僕のノートだ。
ボロボロのノートはまるで自分の夢そのものに見えて、なんだか悲しくなった。