第6章 雄英体育祭
会場に着いて私は、顔を曇らせた。
というか私だけではない。
A組の女子全員が顔を曇らせた。
なぜなら、チアの服を着ているのは私たちだけだから。
どうやら女子全員でチアの服を着て応援合戦をするというのは、峰田くんと上鳴くんの嘘だったらしい。
彼等の言葉をまんまと信じてしまった八百万さんは膝に手をついて「何故こうも峰田さんの策略にハマってしまうの私……」と項垂れている。
「騙されていなければ、廻さんにつらい思いをさせずに済みましたのに……」
スタジアムの入る前にA組の女子全員に、身体に傷があることを話した。
どんな理由で傷がついたかは言わなかったけど。
それでも。
みんなに話せるきっかけができてよかった。
いつかは話さなきゃとは思っていたから。
レクリエーションが始まる前に、最終種目の組み合わせをするみたい。
最終種目は騎馬戦で勝った4チーム、総勢16名からなるトーナメント形式。
つまり一対一のガチバトルだ。
形式は違うけど、毎年トーナメントで個人で競い合っている競技にみんな胸の高鳴りを抑えられずにいるみたい。
「それじゃあ組み合わせ決めのくじ引きをしちゃうわよ。組が決まったらレクリエーションを挟んで開始になります!」
ミッドナイト先生の説明を受け、いよいよくじ引きをするという時だった。
尾白くんが静かに手を挙げた。
「俺、辞退します」
その発言に周りにいる全員が驚いた。
それもそうだろう。
上位のチームに入れたのに、最終種目に参加できるのに、なにより、プロのヒーローに見てもらえる場なのに。
なぜ、辞退するのか。
疑問に思わない方がおかしい。