第6章 雄英体育祭
時計をみると、もうすぐ入場の時間になろうとしている。
公平を期すためにヒーローコスチュームではなく雄英高校のジャージを着用。
学校側に申請していた個性アイテムを身に着つけ、いざ出陣しようとしたら、控室の空気が重たくなったのを感じた。
どうやら轟くんが緑谷くんに宣戦布告をしたらしい。
「轟くんが何を思って僕に勝つって言ってんのか……は、わかんないけど。そりゃ君の方が上だよ……。実力なんて大半の人に敵わないと思う……。客観的に見ても……」
緑谷くんはネガティブな発言をした後、ちらりと視線を私に送った。
力強い瞳が私を映しているのがわかる。
「皆……他の科の人も本気でトップを狙ってるんだ。僕だって……遅れを取るわけにはいかないんだ。僕も本気で獲りに行く!」
今までの気弱な少年の姿はどこにもいない。
彼もまた一人のヒーローの卵。
緑谷くんの言う通りだ。
みんな、目標があって、叶えたい夢があって、必死になっている。
私も必死にならなきゃ。
そして、私たちの体育祭が始まった。