第6章 雄英体育祭
そして放課後。
一日の授業が終わり家へ帰ろうと教室の扉を開けた瞬間、私は誰かにぶつかりその場に尻餅をついた。
「大丈夫、廻さん……」
「大丈夫……」
尻餅をついた私に手を差し伸べる麗日さんの手を取り、ゆっくり立ち上がる。
一体私はなににぶつかったんだろう。
教室の外へと視線を向けると、異様な光景が広がっていた。
扉の前に何十人ともいえる生徒が群がり進路を妨害していた。
まるで、いつかのマスコミのように。
「出れねーじゃん。何しに来たんだよ」
「敵情視察だろ、ザコ」
困ったように呟く峰田くんに爆豪くんはズバッと言い放った。
ザコと言われた峰田くんは眉間に皺を寄せて何かを訴えるように緑谷くんを見つめる。
言いたいことはなんとなくわかる。
「ヴィランの襲撃を耐え抜いた連中だもんな。体育祭の前に見ときてえんだろ」
爆豪くんは一歩二歩と扉に近づき、
「意味ねェからどけ、モブ共」
敵を自ら作るような発言をした。
知らない人の事とりあえずモブって言うのはやめた方がいいと思うな。
なんて考えていると、群衆の中から低い声が響いた。
「どんなもんかと見に来たが、随分と偉そうだなぁ。ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?」
「ああ!?」
「こんなの見ちゃうとちょっと幻滅するなぁ」
前に出てきたのは紫色の逆立った髪の毛と濃い隈が特徴的な男子生徒だった。