第6章 雄英体育祭
教室に戻ると「お、無事に生還してきた」と瀬呂くんが声を掛けて来た。
どうやら私が落ち込んで戻ってくると思っていたらしい。
「心配してくれてありがとう。でも、怒られなかった。注意はされたけど」
「廻が怒られない日はくるのかね」
「来るよ、たぶん」
「たぶんなんだ」
私と瀬呂くんの会話を聞いていた耳郎さんが乾いた笑みをこぼし「でも意外だよね」と続けた。
「なにが?」
「見た目だけなら勉強できそうな雰囲気なのに」
「人は見た目によらないんだよ」
「自分で言っちゃうところが廻のすごいところだよね」
耳郎さんは耳たぶからぶら下がるプラグを指の先に絡めたりと遊びながらそう言った。
はじめてそんなことを言われた。
ちょっと嬉しい、かも。
と、照れている私に「褒めてないよ」と耳郎さんは言った。
褒めらていると勘違いした、恥ずかしい……。
その後、昼休みが終わるチャイムが鳴り私たちは自分たちの席へと戻る。
暫くすれば先生が来て授業が始まった。