第6章 雄英体育祭

「警備は例年の五倍に強化するそうだ。何よりウチの体育祭は……"最大のチャンス"。ヴィランごときで中止していい催しじゃねえ」

確かに、雄英の体育祭は日本のビッグイベントの一つと言っても過言ではない。
かつてはオリンピックがスポーツの祭典と呼ばれて全国が熱狂した。
今は規模も人口も縮小して形骸化したけど、その"かつてオリンピック"の代わりになるのが雄英体育祭。
スカウト目的でトップのヒーローも観に来るこの行事。
プロに見込まれたら資格修得後、つまり卒業後はプロ事務所にサイドキック入りがセオリーとなっている。
ヒーローを目指す人間にとって、こんなに燃えない行事もそうそうないだろう。

「当然、名のあるヒーロー事務所に入った方が経験値も話題性も高くなる。時間は有限。プロに見込まれればその場で将来が拓けるわけだ。年に一回……。計三回だけのチャンス。ヒーロー志すなら絶対に外せないイベントだ！」

みんな燃えているのが見て取れた。
私も燃えている。
自分の今の力がどこまで通用するのか知りたい。