第6章 雄英体育祭
そして、朝のHRの時間。
全身包帯まみれの相澤先生が教室に入って来た。
職員室に行った時は姿が見えなかったから療養するのかと思っていたけど、まさかこんなすぐに復帰するなんて。
プロってすごいなぁ、と感心したと同時に私のことを相談してもいいのかと不安になった。
光己さん、もう連絡したかな、したよね。
そしたらもう知ってるよね。
ぐっと机の下で硬く拳を握った。
おぼつかない足取りで教壇に立つ先生はみんなの心配を「俺の安否はどうでもいい」と一蹴した。
どうでもよくないと思うんだけど、と出そうになった言葉を飲み込む。
続けて先生は「何より戦いは終わってねぇ」と静かに言った。
「戦い?」
「まさか……」
「まだヴィランがーーー!!?」
考えたくもないが大丈夫とも言えないのが現状だ。
緊張感が教室に走るが、先生が放った一言は想像もしていなかったものだった。
「雄英体育祭が迫ってる!」
どこにでもある学校の行事に一同はほっと胸を撫でおろす。
もちろん私も。
だけど疑問はある。
ヴィランに侵入されたばかりなのに大丈夫なのか。
先生曰く、逆に開催することで雄英の危機管理体制が盤石だと示す、という考えがあるらしい。