第6章 雄英体育祭
「相澤くんに何か伝言があるなら伝えておくわよ」
「あ、いや……えっと、大丈夫です……」
先生方にちゃんと伝えるようにって光己さんから言われていたけど、一昨日のUSJ事件もあってその対応に追われている先生たちを見ると、何も言えなくなる。
光己さんからも学校に連絡はすると言っていたし、私から改めて言わなくてもきっと大丈夫だろう。
申立てだって作るわけだし。
それに、伝えるだけならいつだってできるもん。
今じゃなくてもいい、もう少し落ち着いてからちゃんと話そう。
自分にそう言い聞かせ、私は職員室を後にし教室へと戻った。
さっきまで爆豪くんしかいなかった教室は、今は6人になっていた。
寝ていた爆豪くんは無理やり起こされたのかすこぶる機嫌が悪い。
「おはよう、廻!!」
爆豪くんと話をしていた切島くんは、私の姿を見ると満面の笑みを見せて来た。
「おはよう」
切島くんと挨拶を交わし、自分の席に座る。
何か言いたそうに視線を向ける爆豪くんの顔が見れなくて、目を逸らしてしまった。
この態度で全てを察したのか、舌打ちされた。
切島くんの「え⁉俺、なんか舌打ちされるようなこと言った?」と慌てる声が聞こえた。
違うんだよ、切島くん。
その舌打ちは私に向けてのものなんだ。
ごめんね、巻き込んじゃって
後でなにかお詫びします。
今だけ、今だけでいいから、苛立ってる爆豪くんの心をどうにか鎮静化してほしい。
そうでないと多分私、休み時間に爆破されちゃう。