第6章 雄英体育祭
私と爆豪くんは、いつもより朝早く学校へ登校した。
私1人でも事情は説明できると言ったら、ものすごく目を吊り上げられて「昨日俺が言ったこと忘れたんか、この鳥頭」って罵倒された。
「俺の家にいることがバレてんだぞ。1人でいるところをもしも見られたらどうなるか少し考えりゃ分かんだろ」
そう言われて、私は何も言えなくなった。
もし、1人でいるところを見られたら私はきっと実家に連れていかれるだろう。
改心したと言っていたけど本当かどうかはわからないし、何より私はあの家に戻りたくない。
あの家は怖いことで溢れているから。
「ありがとう」
「貸し5な」
「爆豪くんに貸しを作るのは怖いなぁ」
クスクスと小さく笑うと、爆豪くんはどこか安心したような表情をしたような気がした。
私の気のせいかもしれないけど。
学校へ着き、荷物を置くため一度教室へと向かう。
爆豪くんは「寝る」と言い、机に突っ伏してしまった。
学校の中だし、大丈夫と判断したんだろう。
私はペタペタと足音を鳴らして職員室へと向かった。
「失礼しまーす」
職員室の扉を開けると、ちらほらと何人かの教師陣はいた。
セメントス先生に、ミッドナイト先生、プレゼント・マイク先生。
だけど、相澤先生の姿はなくてまだ来ていないのかなと思っていたら「イレイザーならまだ来てないぞ」とプレゼント・マイク先生がそう言った。
「いつ頃来ますか?」
「いつ頃……。そうだなぁ」
随分と歯切れの悪い物言いに首を傾げるが、ここで漸く私は昨日のことを思い出す。
あんな大怪我したんだ、すぐに復帰なんてできるわけがない。
なんでそんな大事なことを忘れていたんだ。
昨日のお父さんのことがあって、失念していたんだ。
どうして私はいつも自分のことばかりなんだろう。
嫌になる。