第6章 雄英体育祭
爆豪くんは言った。
爆豪家に居候していることが割れているなら進学先も割れている可能性が高い、と。
それに近々雄英体育祭があり全国に放送される。
そうなると否が応でも私が雄英にいることはわかってしまう。
「俺の家や雄英に来る可能性がないとは言えないだろ。接近禁止の申請には早くて1週間かかる。1週間以上時間を要した場合、その間にてめぇに近づかないって保証はないだろうが」
「そっか……」
「ただ、申し立てできんのは被害者本人、つまり、テメェだけだ。もしお前が申請しないって言うんなら、こっちはそれなりの対処をしなきゃいけねえ。だから、雄英にも言うんだよ、わかったか?」
私は何度も頷いた。
爆豪くんはなんでそんなことを知っているんだろう。
もしかして私のために、とか。
そうだったら嬉しいけど、どうなんだろう。
「つうか申請しとけ。今みたいにパニック起こしたくないならな」
「うん、そうする」
「風呂沸かすから入れや」
「ありがと」
爆豪くんが優しい。
変な感じ。
でも私を抱きしめてくれた時、確かな温もりはそこにあった。
あの日と変わらない温もりを私は静かに抱きしめた。