第2章 それは「運命」で「偶然」で「必然」の出来事。
気づいたら保護してくれたヒーローの手を振りほどいて、私はヴィランの元へと走り出していた。
「おい、君!」
制止の言葉には耳を貸さず、制服のポケットからサポートアイテムの腕解けを取り出し腕に巻き付ける。
いい"武器"、出てこい!!
そう、念じながら"個性"を発動させた。
左腕につけた特殊な腕時計の針が勢いよく周り、ぴたりと動きを止める。
その針が差した数字は9。
メリケン……!!
せめて多節棍だったらよかったのに。
奥歯を噛みしめながら、発現したメリケンサックを両手にはめた。
私の"個性"はギャンブル。
1~12の数字がルーレットで決まり武器が出現する。
数字が決まるのは私の意思ではなくランダム。
狙った武器が出せないうえに発現した武器は一度でも使わなければ、"個性"は使えず武器も出現しない。
今だって本当は多節棍がよかったのにメリケンサックだし、本当にこの"個性"は使い勝手が悪くて嫌になる。