第5章 遭遇
窓の外を見ると、さっきまで燃えるような赤色だった空は紫と青を混ぜたような色に姿を変え始める。
なんだっけ、この現象。
マジックなんちゃらって爆豪くんが幼い頃言っていたような気がする。
綺麗だねーなんて笑って、3人で手を繋いで家に帰ったっけ。
寂しさと悲しさと虚しさが押し寄せ、泣きだしてしまいたくなった。
その時、ガラッと教室の扉が勢いよく開いた。
私は肩を揺らし、入り口を見るとそこにはミッドナイト先生が驚いた表情で私を見ていた。
「まだ残っていたのね」
「す、すみません……」
私は慌てて教科書やノートを鞄に詰め込んだ。
さっきまでの感傷は心の奥底に沈み、今は大人しくなっている。
いつまた浮上してくるか分からないけど、できればずっとそのまま沈んでいてほしい。
って願っていたのに、私の願いはいとも簡単に崩された。
「抱えていることがあるなら吐き出したほうがいいわよ」
「え……?」
「ちょうどここには私とあなたしかいないから、誰にも聞かれる心配もないし。誰にも話せないとなるとちょっと変わってくるけど、見てる感じそういう風には見受けられなかったから。……お節介だったかしら?」
優しく笑みを見せるミッドナイト先生は、窓に目を向けると「綺麗な夕焼けね。マジックアワーって言うらしいわよ」と明るい声で言って「明日も晴れるわね」と独り言のように呟いた。