第5章 遭遇
「…………本っ当、かっこいいぜ。イレイザーヘッド」
瀕死の中、相澤先生が"個性"を使って男の"個性"を抹消したらしい。
だけど、化け物の手によって相澤先生はまた地面に顔面を叩きつけられ、そのまま気を失ってしまった。
男がどんな"個性"を持っているかなんて知らないけど、先生の"個性"が消えた今、自分たちを守る術は自分たちにしかない。
……そうだ、私は、みんなの加勢になろうと思ってここに戻って来たんじゃないか。
守られるだけの存在は嫌だから、助けを待つだけの傍観者になんてなりたくないから。
だから私は、ヒーローになるって決めたんじゃないか。
あの頃とは違うんだって証明したい。
だったらやるべきことは一つ。
私は時計を回した。
針がぐるぐると2回周り、ぴたりと止まる。
差された数字は"7"だった。
ライフルが具現化され、私はそれを手にし標的に標準を合わせ、引き金を引いた。
乾いた音が響き渡り、スコープからは赤い液体が宙を舞うのが見えた。
掌を狙ったけど、標準が甘かったらしく銃弾は小指球を掠っただけだった。
それでも威力はあるから痛い事に変わりない。
男は手を抑えて子供のように「痛い痛い痛い!!」と喚く。
喚いている間に、もう一度引き金を引こうとした時だった。