第2章 マッシュ・バーンデッドと不思議な出会い
次も僕が大嫌いな座学の時間だ。
いつも一生懸命聞いてるのにチンプンカンプンで頭が爆発するって展開なのに、
今日はさらに何もかもが上の空で、さっきの先輩の事ばっかり浮かんでくる。
森育ちの僕で、女の子が好きになる感覚とかそんなのは分かりっこないし、好みが何かって聞かれても答えに困ってしまう。
確かに、すれ違った先輩は、女の子に疎い僕でも綺麗だって思うくらいの人だった。
いや、多分街育ちの人でも、どこか消えてしまいそうな神秘的な感じとか、他の人が持ってない見た目に振り向くはずだろう。
違う。
多分そうじゃない。
僕が、思わずつかんでしまった反応は、先輩が綺麗かどうかの問題じゃないんだ。
僕の脳みそが覚えてるんじゃなくて、もっと体の内側から反射するくらい…。
なんだろう。
さっきからずっと、答えもないのに先輩の事ばかり考えてしまう。
それに、今日はなんだかケビン君の調子がおかしいみたいだ。
「マッシュ・バーンデッド」
「っふぁい?!」
いけないいけない…。
全く聞いてなかった。
解らない以前の問題だ…。
「いつもふざけた態度だと思っていましたが、今度は上の空ですか…」
「す…すいません…」
質問に答えられるはずもなく、隣のフィン君にも助け船を出してもらっても全くわからない…。
マルヴィナ先生にはよく怒られるけど、今回はヤバい方だ。
だけどそんなことを気に病むより、
あの先輩の事が気になってならない。
早く昼休み、約束した時間にならないかってそわそわする自分にも驚いている。
こんな思いで誰かに会いたいなんて思っている自分にも驚いている。
「マッシュ君、さっきから大丈夫?」
「え、僕どうかしてた?」
「いや、大丈夫ならいいんだけどさ…。さっきの先輩の事?」
流石フィン君…。
君は僕のこと本当によく見てて気にかけてくれるんだ。
「まぁね…。全く記憶にないのに、凄く久しぶりに会ったような…不思議な感じがするんだ…」
「記憶にないのに、久しぶりに会う感覚...」
そうやって、僕と一緒に一生懸命考えてくれるだけでほっこりするんだ。
とりあえず、先輩と約束はしたことだし、
今は時間が来ることを待つしかない。
ただそれだけだ。