第2章 マッシュ・バーンデッドと不思議な出会い
初めてなのに、初めてじゃない。
そんな感覚は初めてだし、初めて会ったばかりの人に、胸が苦しくなるのはどうかしてると思う。
先輩は一緒に居た男女の友達と思しき人たちに「知り合い?」って聞かれてた。
わからない。って答える先輩。
その言葉でケビン君の奥が紙を破いたように脆い反応をする。
行こうと言われて、手を引かれる先輩。
まだ僕の方を気にしてくれるけど、そのままどこかへ連れていかれそうだ。
だけど、このまま別れちゃいけない気がして、
どうにかちゃんと話したいって思ったんだ。
…なにを?
でも、考えている余裕なんてない。
「先輩と話がしたいです。いつなら時間を作ってもらえますか?」
こんな事、自分から約束するなんてどうかしてる。
でも、感じたことがないふわふわ、じくじくするような感覚の正体が知りたい。
応えてくれるかな?
気づけばそんなことを口走った僕に
先輩は困った顔をした。
でも、それはこんな突拍子もないことを言う僕に引いたりする節はない。
「何なの?ルド、困ってるみたいなんだけど…」
「ルドは監督生よ。君みたいな新入生と…」
先輩の友達たちが、口々に僕を遠ざけようとする。
僕、何かしたかな?
白い先輩は、二人の友達を制止して、僕に歩み寄る。
「いいよ。昼休み、図書室側の中庭で待ってるね」
曇り空に碧がさす瞳。
ぎゅっとつかまれてる心臓をフワッて包まれてるような視線になんだか涙が出てくるところが痛くなってくる。
この人のことをもっと知りたい。
まるでどっかで聞いた胡散臭いと思ってた絵空事が、僕に現実の一コマとして起きたような…
こんな感覚が初めてだから?
いや、違う。
ずっと会いたかった人にやっと会えた時って、こんな感覚なのかもしれないって思ったんだ。
「マッシュ君?」
「あぁ…ごめん。行こうフィン君」
急な衝撃で余裕がない僕は、この時フィン君にどう映ってたんだろう。
必要以上に聞いてこないフィン君で助かった。
今のこの状況も気持もどう説明したらいいかわからない。