第5章 トラウマ
「おい松島どういうつもりだぁ、なんで佐藤を殺そうとしたぁ。」
「ち、ちがうんです!聞いてください実弥さん!」
「気安く下の名前で呼ぶなァ、不快だ。お前、もう来なくていい。2度と顔見せんなァ。」
「そ、そんな!ごめんなさい!許して!」
松島を追い出した後、俺は佐藤の状態について説明された。
「波さんは痛みを感じることができない無痛症です。
黙っておくように言われましたがこの際隠すこともできません。痛みを感じないせいでおそらく限界がわからなかったのでしょう。それに目も見えなくなっていた事によって自分がどんな状態になっているのかも把握できず今回のような事になったと考えられます。
それと2日前ほど前にいつもより多く怪我をしていた事がありました。その傷は一方的にやられた傷だったので、稽古中に松島さんにつけられたのでしょう。」
(、、、佐藤に何かあるのは知っていたがやはり無痛症だったのか。こんな事になるまで気が付けねぇとは情けねぇな。)
俺は佐藤がいる病室へ向かった。
私が目覚めてから師範としのぶさんに何があったのか事細かく説明するよう要求された。私はありのままに話した。ゆかりさんが師範に好意を持っていて私に嫉妬をしてきた事。自作自演をしていた事。すべて。
「すまねェ。俺の責任だァ。」
私は師範の顔は見えなかったけど声が少し悲しそうだった。