第6章 主人公と脇役
「転生って信じますか?」
私は目を上にあげることができなかった。
「私は、前世の記憶があるんです。」
赤い仮面を被った鱗滝さんの感情がわからない。でも今の私が異常者なのはわかりきっていた。
「前世持ち聞いたことがある。たがにわかに信じがたいな。」
それはそうだ。すんなり信じられる方が怖い。
「私は、鱗滝さんに拾われる前にある夫婦の家に居候させてもらってたんです。」
私が言うと鱗滝さんは「波と初めて会った時の家か。」と思い出したようにつぶやいた。
「そうです。鱗滝さんに助けてもらった日の一年前ほどに私はこの時代にやってきたんです。その少し前は私は17歳でした。でも前世で死んでこの時代にきた時には10歳ごろの体になっていて、しかも痛みもなくなっていました。おそらくこの体は無痛症なのかと。」