第5章 トラウマ
あれから二週間ほど経った。あの日以来師範が私に会いにくることはなかった。
(任務が忙しいだろうし、わざわざ私に会いにくるほど仲深くないもんなぁ。自分で言ってて傷ついちゃうわ。誰もいないって寂しいな。今までそんなことなかったしな。友達作っとけばよかった。)
「波さんは傷の治りが早いですね。もうほとんど目が見えるようになってます!」」
アオイちゃんが私の傷を見てくれている。
「あ、そうかな?そういえば前より姿がだいぶ具現化されてくるようになった気がする、、、そうだとしたら便利な体だわ。痛みも感じないし。」
少し笑いながらそう言った私にアオイちゃんが少し怒った声で
「、、、波さん死にかけたんですよ!?不死川さんがいなかったら、今頃!」
必死に涙を堪えるアオイちゃん
「アオイちゃん、、ごめんね、、もう言わない。」
私が謝ると近くにいたしほちゃんにも怒られた。
「ほんとですよ!2度と自分の体を物みたいに言わないでください!波さんは自分の体の使い方が雑すぎます!あの時だって!」
(あぁあの日のことか、あの日は確かしほちゃんがスープを持ってきてくれた時だったかな。
しほちゃんがつまずいて私が咄嗟に庇って火傷したんだった。あの時熱さは一応感じたけど痛みとは違ったんだよな。一応反射機能はついてるっぽいし、、、どう言う条件なんだろう。でももし無痛症じゃなかったら私はこの世界で生きていけないだろうな。神様っつーやつが与えてくれたんかもな。今度神社にいこ。)
「ってちょっと聞いてます⁉︎波さん!私達怒ってるんですから!とにかく波さんは自分の体をもっと大切にしてください!」
そんなふうに怒るしほちゃんが何だか母に似ていた。誰かに思われるってこんなに嬉しいもんなんだな。
「ありがとうしほちゃんにアオイちゃん。」